第3回「ICT活用を広める研修」
June 16, 2008/特集(/interview)
堀田龍也
マガジン記事:「教育の情報化」第3回
堀田龍也先生連続インタビュー
チエルマガジン3号の巻頭を飾り、大好評を博した堀田龍也先生のインタビュー「これでわかる『教育の情報化』」。その続編を、チエルWebマガジンでお届けしています。第3回のテーマは、「ICT活用を広める研修」。“すべての先生方がICTを活用できるようになる研修”について、語っていただきました。
むずかしい内容はナンセンス
簡単なんだと実感させることが大事
ICTを使えば、“わかる授業”ができるようになると、前回お話しました。しかし、いまだに授業でのICT活用に苦手意識を持っていたり、拒絶反応を示す先生がいるのも事実です。こういった先生方の意識を改革するには、「研修」が大事になってきます。
「ICT活用の校内研修」と聞いて、みなさんはどんな内容を思い浮かべますか? ワードやエクセルなどのパソコンソフトの使い方講習が頭に浮かんだ人も多いのではないでしょうか。でも、そのような研修は授業に直結しません。
ICT機器の操作方法を研修で学ぶことも大切ですが、研修のメインに据える必要はありません。せいぜい5分か10分程度で十分です。なぜなら、授業ではICT機器を簡単かつシンプルにしか使わないことが多いからです。
たとえば実物投影機なら、プロジェクタにつなげて教科書や資料を大きく映すだけ。パソコンを使うといっても、デジタルカメラで撮った写真や、マルチメディア教材、ホームページなどを見せる程度。1回教われば誰でもすぐできるような簡単な使い方しかしないのです。
ところが、「ICT活用の研修」と銘打って、「データベースの作り方」や「エクセルのマクロ機能の使い方」といった難解な内容を教えるケースがいまだに後を絶ちません。私に言わせると、まったくのナンセンスです。普通の教師が、授業でデータベースを作ったり、マクロ機能を駆使したりしますか?
しかもこういった研修を受けると、「やっぱりICTはむずかしい」「こんなの必要ない!」と、苦手意識や拒絶反応をさらに強めてしまうことも。これでは逆効果ですよね。
研修で大切なのは、「ICT機器って簡単なんですよ! そして授業を楽にするんですよ!」と先生方に伝えること。苦手意識や抵抗感を払拭することなんです。
たとえば私もよくセミナーなどで話すのですが、プロジェクタって大ざっぱに言えばテレビみたいなモノなんです。実物投影機は、ビデオカメラの親戚みたいなモノです。アンテナで受信した映像を大きく映すのがテレビなら、ケーブル経由で入力された映像を大きく映すのがプロジェクタ。大した違いはないんです。
「テレビは使い方がよくわからないから」と、テレビを見ない人が今の世の中にいますか? でも「プロジェクタはよくわからないから」と苦手意識を持っている人がいるのは、テレビのように日常的に使う機会がないから。触る機会がないから「むずかしそうだなぁ」と思いこんでいるだけで、実はとても簡単なんです。その証拠に、子どもたちはプロジェクタや実物投影機にすぐに慣れ、使いこなしているではありませんか。
「むずかしくなんてないですよ。ビデオの録画予約をするより、ずっと簡単ですよ」と伝え、まず先生方の思いこみを取り払いましょう。
「授業の仕方」を
「模擬授業」で学ぶのがベスト
では、研修では何を教え、学ぶべきなのか。簡単です。「授業の仕方」を研修すればいいのです。
たとえば算数のこの単元なら、この図や表を大きく映すと子どもはわかりやすい、教師も教えやすいと、具体的な授業方法を学ぶ。「ICTを使って、何をどう教えるか」を研修のメインに据えるのです。
ICTの使い方だけに限定する必要はありません。「この図をプロジェクタで見せながら、どんな発問をすれば効果的か」「どんな板書をすれば効果的か」といった、授業の進め方そのものを考え、議論すればいい。そこまで研修を広げた方が有意義ですし、先生方ものめり込みます。
授業の仕方を学べる研修にするには、「模擬授業」スタイルが最適でしょう。パソコン教室ではなく普通教室で、そこにあるICT機器を使って模擬授業を行い、みんなで議論するのです。
時間は短くてもいい。むしろ短い時間の研修を、何回も開催した方がいいですね。15分から20分程度が目安です。「今日はICTを使った算数の授業方法を考えます」「来週は国語の授業方法をやりましょう」というふうにテーマをはっきり決めて、参加できる先生が無理せず集った方が、長時間ダラダラやるよりも効果があります。
こういった研修には、二次的な効果もあります。教師間の情報共有や情報交換が活発化するのです。ベテランの先生は若い先生に授業計画や指導方法のコツを教え、逆に若い先生はICTの使い方をアドバイスする。みんなで知恵を寄せ合い、力を合わせて、いい授業を作ろうという雰囲気が生まれ、教師の授業力が底上げされるのです。
事実、こういう研修をすでに行っている学校では、すべてが良い方向へと回り始めています。「ICTは簡単だ。簡単なのに効果がある」と気づき、若い先生もベテランの先生も、すべての先生がICTを授業で使い始め、職員室や会議ではアドバイスや提案が飛び交い、授業案や教材の共有・交換が進んで、学校全体の授業力が上がり、さらには子どもたちの学力も伸びているのです。
正しい研修は、正しいICT活用の第一歩です。どんな研修をすれば効果的か、みなさんも真剣に考えてみてください。
第4回では、「教科の中で情報活用能力を育てる」について、語っていただく予定です。次回のチエルWebマガジンもお見逃しなく!











