第4回「教科の中で情報活用能力を育てる」
July 7, 2008/特集(/interview)
堀田龍也
マガジン記事:「教育の情報化」第4回
堀田龍也先生連続インタビュー
大好評連載中の、堀田龍也先生のインタビュー「これでわかる『教育の情報化』」。第4回のテーマは、「教科の中で情報活用能力を育てる」です。今なぜ、授業の中で情報活用能力を育む必要があるのか、どんな方法が考えられるかについて、語っていただきました。
情報活用能力が不可欠になった現代

- 資料のイラストから、より多くの情報を読み取る力を鍛える。辞書の使い方を学び、日々使う姿勢を育てる。これも、情報活用能力を育てる授業の一例だ。
※写真協力:宮城県登米市立北方小学校、静岡県静岡市立森下小学校
私たちが子どもの頃、身の回りにある「情報」といえば、テレビや新聞、雑誌、本でした。ジャーナリストや識者といった情報を扱うプロが、責任を持って発信していたので情報の精度や信頼性が高く、「情報活用能力」がなくてもそれほど困りはしませんでした。手にした情報を、そのまま信じてもいい時代だったのです。
しかし、インターネットの登場と普及が状況を一変させました。誰でも簡単に、ホームページやブログを作って情報を発信できる時代が到来した結果、巷には膨大な情報が氾濫。マスコミや企業、行政などが発信する信頼性の高い情報と、個人が発信する信頼性が低いかもしれない情報とが、玉石混交になってしまいました。さらにはデマや中傷といった悪意のある情報までも流れ始め、今や情報の海は混沌状態になっています。
このような時代では、情報を鵜呑みにするのはとても危険です。ウソの情報や悪意に満ちた情報に、振り回されてしまいます。氾濫する情報を取捨選択し、吟味し、正しい情報を見抜く力がなくては、現代社会を生きていけません。時代の変化が、「情報活用能力」の重要性を高めたのです。子どもたちにしっかり「情報活用能力」を教えなければ、子どもの将来、ひいては日本の未来をも危うくします。
情報活用能力の定義を把握する
では「情報活用能力」とは、何でしょうか? それは、情報を「調査・収集」し、集めた情報を「精査・整理」して、相手にわかりやすいように工夫しながら「伝える」力。文部科学省では、情報活用能力の定義として「3つの観点」を挙げています(図1参照)。
情報活用能力は、インターネットで流れる電子情報を扱う力や、ICT機器を使って伝える力だけを指しているのではありません。
インターネットやICT機器を使った情報収集・整理・表現方法を育むことももちろん大切ですが、教科書や辞書、新聞、書籍などの旧来のメディア、そして作文やスピーチといった昔からある表現方法を使いこなす力も含まれているのです。
ですから、「情報活用能力」を教えることと、ICT機器を使って授業をすることは必ずしもイコールではありません。第1回のインタビューで解説した図をもう一度見てください(図2参照)。ICTを使って授業方法を工夫する「授業でのICT活用」と、授業の内容を工夫し、情報社会を生きるために必要な力を養う「情報教育」は別物。情報活用能力は、後者で育成します。
教科の特性に合わせて、情報活用能力を育む場面を設ける
では、情報活用能力をどうやって授業で教えればいいのか。難しく考える必要はありません。教科の特性に合わせて、鍛える力や場面を設ければいいのです。
たとえば、書いたり発表したりする力を鍛えるには、国語科が向いています。調べる活動は社会科に取り入れやすいですし、算数科では集めた情報をグラフや図に整理してわかりやすく伝える力を鍛えられます。各教科のねらいや活動に沿う形で、少しずつ育んでいけばいいのです。
このやり方は、新しい学習指導要領にも明記されています。
国語科では、「相手や目的、意図に応じて、調べたこと・考えたこと・伝えたいことを、工夫して話したり書く態度を育てる」「相手の意図や内容、要旨をつかみながら聞いたり読み取る能力や態度を育てる」といったことが、目標として掲げられています。
算数科では、「数、式、図、表、グラフを用いて考えたり、説明したり、互いに伝え合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れること」が求められています。
さらに、こんな一文もあります。
「情報に関する学習を行う際には、情報を収集・整理・発信したり、情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること」。新・学習指導要領では、あらゆる教科の「情報化」が進んでいるのです。
情報社会の到来に対応すべく、学習指導要領は変わりました。教師も変わるべきときが来ています。
今一度、新・学習指導要領を読み直してみてはどうでしょうか。今後の教育の在り方が、見えてくるはずです。
身の回りにある多様な情報やメディアを上手に使いこなし、情報の海を泳ぎ切る力を、子どもたちに身につけさせてあげましょう。
第5回では、「子どもたちを情報社会の影から守る」について、語っていただく予定です。次回のチエルWebマガジンもお見逃しなく!











